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2021.11.22

金型交換 技術者インタビューvol.1「金型交換とは?」
金型交換 技術者インタビューvol.1「金型交換とは?」

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プラスチック容器の製造現場において、樹脂を流し込み容器を成型する「金型」は非常に重要な部品です。アライ化成の成型現場では、この金型の交換作業が日常的に行われています。製造部 生産技術課の藤原さんに、金型交換について詳しくお聞きしました。

 

――実際に金型交換の現場を拝見させていただきましたが、思った以上に工程が多いことに驚きました。

 

そうですね。ストレッチブロー成型機1台に使用する金型のパーツの数だけみても、大小あわせて20種類ほどあります。

当社では、インジェクション、ストレッチブローあわせて全部で100面以上の金型を保有しています。

 

 

――金属製の金型は非常に重そうですが、どのくらいの重量があるのですか?

インジェクションの金型は1つの大きな箱のためかなりの重量で、当社にある一番重いもので500㎏弱あります。ストレッチブローの金型は大小のパーツが組み合わさって構成されており、数kg程度の比較的軽いパーツもありますが、一番外側の大きな金型で100㎏前後です。

 

――それだけの重さの金型を交換するためには、吊り上げなど運搬の際にも高い技術が求められますね。

そうですね。落下や破損がないよう、取り扱いには細心の注意を払っています。

 

 

――1回の金型交換にはどのくらいの時間がかかりますか?

全ての金型パーツを交換する時は3時間以上かかる場合もありますが、前のボトルと次に製造するボトルでパーツを共用できる時は、一部のパーツのみ交換します。その時の作業時間は1時間半~2時間くらいです。

 

――全工場で、ひと月にどのくらいの回数交換しているのですか?

ストレッチブローだけに関して言うと、1日平均2回、月40回程度です。前の金型の取り外しとクリーニング、新しい金型の取り付け、機械の条件設定がおおまかな流れになります。この作業を2〜3人で行います。

 

――取り外した金型は、クリーニングやメンテナンスが必要なのですね。

そうですね。成型機から取り外したらすぐにクリーニングしないと、錆びや劣化につながります。金型のクリーニングは不良品の発生を防ぐために欠かせない作業です。

また、金型は長く使っていると摩耗してくるため、定期的なメンテナンスも不可欠です。製品に不良が出やすくなったと感じたらすぐにメンテナンスを行います。

 

 

――1日平均2回と交換回数が多いですが、工場の工程管理はどのように行っていますか?

受注後、営業担当が納品までの長期的なスケジュールを組みます。そのスケジュールをもとに、製造スタッフでミーティングを行い一日単位の生産工程を確定しています。色違いのボトルや、共通の金型を使える受注が入った場合は、金型交換回数を減らして生産効率を高めるため、既存のスケジュールを再調整し、最適化するようにしています。

想定以上に不良品が出て時間が押してしまった場合や、金型交換が早めに終わり余裕ができた場合など、細かい単位で各ロットの製造時間の変動は発生しますが、すべて生産管理システムでリアルタイムに管理されており、営業担当にも情報共有されています。

 

――工程が厳密に計画されている中で、イレギュラーな問題が起きてしまうことがあると思いますが、どう対応しているのですか?

金型が破損するなどのトラブルは稀に起こります。金型が壊れた場合は、金型業者に頼んで修理してもらいます。

成型機が壊れてしまうと製造がストップしてしまいますが、金型の故障の場合は、修理に出している間に次の工程の金型に乗せ換えて作業を前倒しすることで、可能な限り稼働ロスのないようにしています。

 

――なるほど、工程のズレに即座に対応できる仕組みがあるということですね。

 

 

――その他に、金型交換で大変な点はありますか?

一番避けたいトラブルは、連続生産が止まってしまうことです。工場では成型機だけでなく、取り出し機などの周辺機械と連動して自動運転しているため、どれか1つにエラーが起こるとすべての工程が止まってしまいます。エラーの原因を探し出し、考えられる対策をいくつも試す必要があります。

 

――実際に試してみて初めてわかることもたくさんありそうですね。

これまでにない新しい形状のボトルなどは成型の難易度も高く、予期せぬトラブルが発生します。機械の特性、金型の構造、原料の特性、あらゆる要素が原因として考えられるため、金型だけでなく全体を見て原因を探り、ひとつひとつ解消しながら新製品の開発を進めているところです。

 

――新しい製品を生み出す過程ではさまざまな方向から工夫やアプローチが必要だと思いますが、金型交換も、製品の品質を左右する重要な要素のひとつなのですね。

 

金型交換とは単なるパーツの交換ではなく、トラブル発生や新製品開発の際には現場での臨機応変な対応力が求められる作業だということがわかります。
次回は、技術者のこだわりについてお聞きします。

 

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金型交換 技術者インタビューvol.2「細部のこだわりが精度を上げる」