ガラスのようなエレガントな質感が特徴の「SB06シリーズ」。アライ化成の製品ラインナップの中でも、最も肉厚で重量感のある人気シリーズです。
従来の方法では製造不可能と思われた肉厚ボトルの開発の経緯をお聞きしました。
――SB06シリーズの開発の経緯をお聞かせください。
「肉厚ボトルを作りたい」という思いは、18年前、当社がはじめて2軸延伸ブロー成型機(ストレッチブロー成型機)の導入を決めた時からありました。
元々、当社は射出成型(インジェクション)の設備しか持っていませんでした。キャップ・クリーム容器・スパチュラなど、ボトル以外の製品を製造しており、OEMのような下請けの仕事からスタートしましたが、会社の未来を考えた時に、下請けからの脱却の必要性を感じました。
容器メーカーとして市場に参入するためには、自社で企画したオリジナル製品を持っている必要があります。オリジナルのボトル製品を作るために、新たに設備導入の準備をはじめました。
――ボトルを作ろうと決めた後、すぐに機械を導入したのですか?
当初はすぐに自社に設備を入れるつもりはなく、こちらで作った金型を外部業者に預けてダイレクトブロー製のボトルを製造してもらう、委託生産から始めました。しかし、価格・納期・個数・品質など、自分達の要望を細部まで反映させるためには、委託ではなく自社で製造することが必須だと感じるようになりました。
――コストをかけてでも、自社のこだわりを100%反映させた製品をつくりたいという思いで、機械導入を決めたのですね。
そうですね。
ボトル成型機には、主に「ダイレクトブロー」と「2軸延伸ブロー」の2種類があり、当社に入れたのは、2軸延伸ブロー成型機です。
ーーダイレクトブローと2軸延伸ブローの違いは?
ダイレクトブローは、量産しながら常に成型条件を調整し続ける必要があります。すぐに条件にブレが生じるため、品質にバラつきが出やすく寸法精度に難があります。ただPET系樹脂に限らず、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)といったオレフィン系樹脂を用いたボトル成型に向いていることや、金型費用も2軸延伸ブローに比べて格段に安いというメリットもあります。
2軸延伸ブローは、プリフォーム(射出成型品)を延伸しながら膨らませる成型法で寸法精度の良さ・落下強度が強いなど、品質にこだわった製品の量産に向いています。見た目もきれいで高級感が出せるのも特長です。
それぞれメリット・デメリットはありますが、自社に設備を入れるなら、寸法精度、落下強度が良い2軸延伸ブローと決めていました。
ーー機械の導入はイニシャルコストも大きく、ボトル製造への参入は勇気がいる決断だったのでは?
元々、2軸延伸ブローは、飲料や食品関係に使用される薄めのボトルの生産で普及してきた機械ですが、私たちが自社で作るボトルとして着目したのが、化粧品ボトルです。
化粧品ボトルは昔はガラスが主流でしたが、時代の流れで樹脂ボトルも増えてきており、成型方法もダイレクトブローから2軸延伸ブローへの移行期に差し掛かっていました。
自社に導入するなら2軸延伸ブローと決めていたことと、化粧品ボトルの樹脂化の流れがちょうどマッチしていたこともあり、決断に踏み切りました。
2000年頃から2軸延伸ブローの情報収集をし始め、一号機を入れたのが2004年です。
自社のオリジナル製品を作るにあたり、自分たちの要望と、時代のニーズにマッチした品質の高い製品づくりを目指して、機械導入を決断したアライ化成。
次回は、肉厚ボトルが製造可能になるまでの過程についてお聞きします。
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肉厚ボトル開発秘話vol.2「成型機メーカーとの試行錯誤」