COLUMN
2021.08.20

肉厚ボトル開発秘話vol.2
「成型機メーカーとの試行錯誤」
肉厚ボトル開発秘話vol.2「成型機メーカーとの試行錯誤」

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前回は、ボトル製造参入を決めるまでの経緯をお聞きしました。今回は、2軸延伸ブローで化粧品ボトルを作るという事業の方向性を、どのように具体化させていったのかをお聞きします。

 

前回の記事はこちら
肉厚ボトル開発秘話vol.1「ボトル製造への参入」

 

ーー数あるボトルの中で、肉厚ボトルを作ろうと思った理由は何ですか?

 

2軸延伸ブローを使って化粧品ボトルを作っている会社は既にたくさんあったので、新規参入にあたり、何か特色のあるもの、他と違う規格製品を作らないといけません。どういった製品を作っていこうかと色々模索していた中で、ある原料メーカーが、非常にナチュラルな透明感が出るガラスライクな樹脂を新しく発売しました。

従来の原料では、肉厚にすると製造過程でプリフォームが結晶化し白濁するなどの問題点があり、綺麗さを求める化粧品ボトルには向いていませんでした。しかし、新しく開発された樹脂によって、透明度の高い肉厚ボトルが実現可能になったのです。

 

ーーなるほど、新しく開発された材料の登場により、これまでにない「ガラスライクなボトル」製造への糸口が見つかったということですね。

 

 

――デザインのこだわりや、製品化するまでの課題をお聞かせください。

 

「ボトルの底部に樹脂を溜めて、ガラスのような質感をもたせた製品を作りたい」というのがゆずれない条件としてありました。

底の厚みを何mmにするかが大きな争点で、厚ければ厚いほど成型が難しく、量産に耐えられるギリギリの厚みを模索しました。

 

 

――確かに、ガラスのような重厚感が出るポイントは、底の厚みですね。
肉厚ボトルはSB06シリーズが初めてになりますか?

 

肉厚ボトルとして最初に製造したのは、SB01シリーズです。SB01シリーズは15年前に当社で初めて製造を開始した規格ボトルシリーズで、当時の技術では3mm程度の底肉厚が限界でした。その後、さらに底の厚みを6~7㎜まで持たせたSB06シリーズが生まれました。

クリーム容器では底の厚い製品ができることがわかっていたので、技術的にはボトルも可能だと思っていました。ただ、初めての試みだったので、この厚みを出すまでには、色々な素材を試したり、成型機メーカーに何度も相談したりと、かなりの時間がかかりました。

 

――成型機の開発過程で試行錯誤があったのですね。

 

私たちも肉厚ボトルの技術的なノウハウを持っておらず、楽観的に考えていましたが、実際はかなり難しい要求だとわかりました。

成型機メーカーに相談したところ、プリフォームの段階から肉厚にするための金型のノウハウや冷却の仕方など、色々と工夫していただき、肉厚ボトルを成型できる機械を開発していただくことができました。

問題は色々出てきましたが、こちらの要望を伝え、あとは成型機メーカーにお任せし、ひとつずつクリアしていく、というように進めていきました。

 

 

――時間と労力のかかった肉厚ボトルの製造ですが、ニーズに対する自信はありましたか?

 

自信はありました。PETで肉厚ボトルを作るのは技術的に不可能と言われていましたが、こうして生産体制が確立でき、成型機メーカーのエンジニアにも「このボトルは伝説だよ!」と驚きの言葉をいただいた時は、「今までにないボトルが作れた」と興奮しました。

一つの機械でプリフォームの射出成型からボトル成型までできる「ワンステージ」という機能を持つ成型機メーカーは世界的にも数少なく、その技術力の高さも、肉厚ボトル製造には欠かせません。私たちの「こんな製品を作りたい」という要望に、メーカーの方が真摯に応えてくれたからこそ、独自性の高い製品が作れたのだと思います。

メール便用の角型ボトルなど、次の製品開発も進めています。頼もしいパートナーのような存在です。

 

成型機メーカーとの「従来の方法にとらわれず、当たり前を打破する」アプローチが、実現不可能だと思われた肉厚ボトルの製造を可能にしました。
次回は、SB06シリーズの現在についてお聞きします。

 

続きはこちら
肉厚ボトル開発秘話vol.3「多くの人に手にとって欲しい」

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